2021年サポートライダー青木琥珀選手レポート

青木琥珀選手

2021年シーズンを全日本エンデューロ選手権及び中部エンデューロ選手権でリンクオイルを使用し戦ってくれた青木琥珀選手から年間レポートが届きましたので掲載いたします。
※レポートはランキング1位で迎えた中部エリアの最終戦と、その後に開催された全日本の最終戦の2部となります。


2021JEC 中日本エリア戦 第8戦(最終戦) 
レース報告 会 場:O-LANDPARK SHISHIHARA
選 手:青木琥珀
クラス:国際Bクラス
車 両:BETA RR2T125 2021

今回のレース報告についてはレース前の1週間の振り返りも含めて報告したいと思います。
前回の中日本戦エリア戦で国際B級ランキング総合ランキングが1位になっていることから、今振り返ってみれば最終戦を前にして、生まれていたのはランキング1位になったことによる余裕や安心ではなく、残り1戦絶対に落とせないという焦りと不安が自分の中で日に日に大きくなっていたのだと思います。

10月24日(日):レース1週間前 レース前の練習 緊張しながらもこれまで練習してきた内容(ライディングフォームや加速・減速時のアクセル・ブレーキ等)の最終確認ができ、不得手としているロックセクションも無難に走ることができて一安心して練習を終えることができました。

10月25日(月):レース6日前 この日は、中間試験の答案返却が行われたものの最終戦のことで頭がいっぱいになっていて、試験結果がどんな結果でそれについてクラスメイトとどんな会話をしたのかが記憶にない感じでした。

10月26日:(火):レース5日前 朝からとにかく頭が痛かった… 緊張からなのかあまり記憶がなく、食事量も減ってきてしまい、食べなければいけないという気持ちとは反対に食べ物が喉を通らなくなっていきました。

10月27日:(水):レース4日前 トレーニング・コンディショニングともに身体は完璧に仕上がりました。 あとは気持ちだけ… ただその気持ちが上がってこない、いつもと違い吹っ切ることができない状態が続いてしまいます。 食事量も本来増やしていく時期に、まったく増えていかないことが精神面の不安定感を助長していきました。

10月28日(木):レース3日前 学校… 授業中… 何も集中できない あとから、父から聞いた話だとこの日ぐらいかレース当日まで父からの会話に不機嫌そうに「えっ?」や「はぁっ?」と言っていたみたいです。 普段はまったくそんな態度をとることがないので、かなり精神面できついんだろうなと感づかれていたみたいです。 もちろんそのときは、ものすごく怒られてそんなこないって言い訳したみたいですが、怒られたことや言い訳したことも記憶にないです。

10月29日(金):レース2日前 NAGmotors様にてレース前の最終整備 自分のマシンを触っていると少し落ち着いて、少しだけ考えがまとまる気がしました。 長嶋代表や来客されたお客様の会話で落ち着けた気がしました。

10月30日(土):レース前日 レースマシンを引取りに行きました。 あとは精一杯挑むだけなのに頭の中が整理できていない… 何も頭の中をまとめられない状態で、表面上で元気なふりをするのが精一杯でした。

10月31日(日):レース当日 朝からすべてがおかしい… いつものように体が心が動かない… 負けられない気持ちだけがどんどん強くなり頭も働かない… 1周目 最悪なことが起きてしまう… 朝の下見から不安だったロックセクションで転倒… いつもなら、そこからの修正方法を思いついて、修正していくことができるのに焦りと不安だけが高まっていく ピットに戻ってきてからの父との会話もまったく耳に届かない 2周目 タイムはよくはないが、無難にまとめて3番手のタイムで悪くない走りをすることができた。 それでも、気持ちが頭がついてこない… 3周目 テスト(タイム計測)途中でエンジンがストップ… 焦りもあったがまだ上位とのタイム差を考えるといつもならひっくりかえせるぐらいの差… それなのに自信が持てない 4周目 よくはないが、まだ上位に喰らいついていけるタイム差でふみとどまることができたはずだった… はずだったのに、取り返しのつかないことをしてしまう コース設定用の杭を倒してペナルティ1分加算 5周目 焦り…悔しさ…緊張で身体がまったくいうことをきいてくれない…     
転倒、ライディングミス…     
どうライディングすればいいのかわからなくなる 6周目 なにも記憶がない 7周目 ロックセクションで転倒 膝を捻挫して、右足に全く力が入らなくなってしまう 動かすと激痛…立てない 何をしてもいいのかがわからない でも、何が何でも最後まで走りたい、あきらめない… その気持ちだけで無我夢中に走った 。    
どうやって走ったなんて何も覚えてない 8周目  膝の状態を確認されて、やめようと止められたけど何とか走りきれた レース終了後 レースが終わってすべての力が抜けた まったくと言っていいほど頭が働かない レースが終わってどうやってライディングすればいいのか、どうやってライディングしていたのかがわからなくなってしまった 。

11月1日(月) 右膝が痛いため整形外科と接骨院へ行きました。 診察結果は、 右膝 内側側副靱帯損傷 外側側副靱帯損傷 骨挫傷 しばらく膝に負担のかかる運動はできないと診断でした。 食欲がないので一日何も食べることができなかったです。

11月2日(火) レース前のマシン整備~レース~通院とほぼ1週間休んでいたので、ひさしぶりに学校にいったものの何も食べていないからか頭痛と腹痛に襲われてしまいました。 それでも食欲がなく、その日も1日何も食べられないでいました。 1年間国際B級で戦ってきて、最年少での国際A級昇格を目指して走ってきたものが崩れ落ちてしまった感じがしました。 ここから1週間… 本当に絶望と戦い、乗ることが怖くなり、もう走れないとまで思いました。 支えてくれいるすべての方々に申し訳ないと思い、尊敬する先輩ライダーや大切にしている後輩のライダー、サポートしてくれている方々に相手にしてもらえないのではないかと寝れない日が続きました。 そんな中で、次の週末の練習で救われることができました。

11月6日(土)レース後初練習 場所:O-LANDPARK 太田誠社長に朝の挨拶に言ったときにもらった言葉 なんだあの走りは! お前はそんなもの! メンタルが弱すぎる! そんなじゃいくら口で言っても世界になんて絶対に行けない! はっきりと言ってくれた… 厳しい言葉だったけど、なんか少し落ち着いた気がした でも、まだ若い、やってることも間違ってない!ただただ弱くて基礎が足りない、頭も足りない、もう1年国際B級に参戦して最強最速になれ! もう1年積み重ねろ、弱いことを受け止めて、さすが国際A級といわれるようになれ! はっきりとダメなんだと言われた…悔しくて泣いた でも嬉しかった。
あんなになっても自分をきちんと見てくれている人がいると実感できた。 そして、自分の進むべき道が見えた気がした 太田真成さんや太田幸仁選手からも同じような言葉をもらって、最後に今日の走りなら他のライダーのお手本になるライディングだったと言われた 一日乗っていて本当に乗ることが怖かったけど、少し前に進めた気がした O-LANDPARKの皆様ありがとうございました 。

11月7日(日) 練習ではないですが、釘村選手ともたくさん話をした たくさん話を聞いてもらった 正解なのか間違っているのかはわからないけれど、いろんなことを話した。 練習も基本に忠実にやろうとアドバイスをもらえた 自分の考えが間違っていないこと、進んでいる方向が間違っていないことが確認できて安心できた 乗ることが走ることが怖かったが少し怖くなくなったそして、何よりも楽しかった 釘村選手ありがとうございました 。
その後の練習で父からも最終戦でライディングがわからなくなったかもしれないけど、第三者として客観的に見てるとその後の練習でライディングが一気によくなったと言われた。まだライディングフォームもできていないのに、速く走ることに結果にこだわり過ぎたと反省した。 これまでにないほどの絶望感と自分への失望感に襲われてしまったJEC中日本エリア戦最終戦の報告でした。

今回は勝った、負けたという単純な内容のレースではなかった気がしたので、本来であればレース内容の報告のみであるべきなのですが、今回はたくさんの経験をすることができたことからレースの前後についても報告させていただきました。 2021JEC 中日本エリア戦 国際B級クラス 総合ランキング3位 サポートしていただいている皆様の期待に応えることができず、不甲斐ない結果とはなってしまいましたが、本当にたくさんの経験をすることができて、心も体も技術も強くなることができました。 最速… 最強… ライダーを目標に1つ1つ積み上げていきたいと思います。 これでJEC中日本エリア戦 最終戦の報告は以上になりますが、この続きとしてJEC全日本選手権 最終戦のレース報告がありますので、そちらまで読んでいただければ嬉しく思います。

                   NAGmotors&BETA&国際学院高校 青木琥珀

レース奮闘中

続いて失意の中で迎えた全日本エンデューロ選手権最終戦のレポートです。


JEC 全日本選手権 第5戦(最終戦)
会 場:スポーツランドSUGO
選 手:青木琥珀
クラス:国際Bクラス
車 両:BETA RR2T125 2021
結果 DAY 1 :6位 DAY 2 :3位 Final-X 6位
総 合 :4位

今回のレース参戦にあたり、SNS等では報告はしなかったのですが、中日本エリア戦(10月31日開催)にてライディングミスにより、右膝内側側副靱帯・外側側副靱帯・骨挫傷をしてしまいました。
全日本選手権参戦時の膝の状態は、ジャンプやギャップでの着地のときには毎回うめき声を出してしまうような状態でしたが、無事に2日間+ファイナルクロスを走りきることができました。  レース出発ギリギリまで膝と体の治療及びケアをしてくださった… やましろ接骨院 様 パーソナルトレーニングルーム・エム 様 ありがとうございました。 おかげさまで、全日本選手権を納得いく形で走ることができました。

DAY1 1周目 タイム計測がないことから、全体のコース状態を確認及びライディングフォームを確認しながら、転倒なく確実な走りができて一安心 ただ、前回レースの中日本エリア戦の悪いイメージを払しょくすることができずに、ライディングに自信が持てないまま2週目からのタイム計測へ 2周目 エクストリームテストで追いついた前走者に詰まって転倒した1回のみの転倒で終えられたのよかったと思う(ただ、タイムを大幅にロスしたのは大きかった) 前回のレースでぐちゃぐちゃになった心だったり、考え方だったり、ライディングが少しつながって気がした 3周目 2週目でパドックに帰ってきたときに、タイムチェックに行く釘村選手からアドバイスをもらい、そこから上半身の力が抜けて一気にタイムを詰めていくことに成功 テストタイムは6~9番手と上位とは、まだまだ差があるものの少しずつライディングが戻ってくることを実感できた 4周目 3周目で安定した走りができたことから、4周目も転倒なく少しずつタイムを縮めていくことに成功 上半身・特に腕に無駄な力が入っていないことから、しっかり乗れていることを自分自身で実感できた 5週目 DAY1(最終周)のクロステストでやっと4番手のタイムを叩き出すことができた 何か少しつながった気がした 全体的にタイムとしては突出していいものはなかったが、タイムを揃えながら、テストごとにタイムを少しずつでも上げていくことができたのが収穫と思った そんな中でも、中日本エリア戦後に取り組んできた攻めるライディングや無理をして一発の速さにこだわるライディングではなく、きっちりと破綻をしない本物のライディングだけを心がけて崩れることなく1日12テストをライディングできたのはよかったと思う。

DAY2 膝の調子は… あまり前日のできなかったことや悪いイメージを考えないようにして朝から落ち着いた状態で、たくさんの先輩や後輩の楠原歩選手と談笑しながらリラックスしてレースへの準備 ができた 1周目 エンデューロテストで前走者のライダーに詰まるも4番手のタイム しかし、次のクロステストでまさかの転倒というか落下してしまい、一気にタイムと順位を落とすもクロステストを丁寧に走りきったところで2番タイム!
国際B級の全日本選手権では4番手のタイムが最高タイム順位だったので気持ちもライディングも落ち着く 2周目 余裕ができたこともあり、各テストともにタイムを詰めていくことに成功 下半身と体幹で乗れているので腕上りもまったくなく、膝以外は絶好調! 3周目 エンデューロテスト&エクストリームテストをきっちりと走りきり、得意のクロステストへ… しかし、クロステストで2日間でのベスト思えるライディング中、ハイサイドで吹っ飛んでしまい、マシンからも放り出されて15秒以上ロス… このあたりが国際A級の上位ライダーとの差だなと実感 基礎の積み重ねが全然足りないと痛感した転倒 ~たら~れば… はないけど、きっちり走りきっていれば3分10秒は軽く切れていたのでOKと自分に言い聞かせることにした このあたりの切り替えが早くできたのは、中日本エリア戦最終戦でどん底まで苦しんだところからこの場所まで戻ってこれただおかげかなと思えた 暫定3位で最終週へ!(富永選手がDAY2はマシントラブルで1周目から大きく遅着していたため)
4周目 最終周は基礎の確認と自分に再度言い聞かせて、視線・フォーム・ラインを落ち着いて整理して考えながら走りエクストリームテスト&エンデューロテストはベストタイム クロステストはもう少し攻められた気もするが、できるかぎりにきれいなライディングをして2番タイム! DAY2はクロステストでオール2番手のタイム!
1年間で成長できたことを実感できた Final-X 初の大坂‼️ 念入りに下見をしてジャンプやバンク等も、各テストとはレイアウトが変更されているためコースウォークをして念入りにチェック! スタート… スタート位置をイン側にしてイン狙いにいったのですが、第一コーナーまでのスピードを上手く乗せることができず中盤の集団に巻き込まれてしまう そのまま大坂後の2連のジャンプまでは集団に飲み込まれてしまい、先頭集団とはかなり差が開く 5位・6位を所属チームの代表であるNAGmotors長嶋代表と争う形に… コーナーで追いつくもストレートと大坂で引き離されてしまう展開 そのまま、追いつくことができずにFinish!!
8月にモトクロスの練習をして以来、1度もモトクロスコースで練習していないが、ジャンプもほぼすべて飛びきれてしっかりとした走りができたと気はする 基礎ができれば、モトクロスやってなくてもこのぐらいは走れるんだなって思った。

中日本選手権最終戦~全日本選手権最終戦でいろいろなものをなくして、いろいろなものを手に入れた気がします。 悔しくて… 辛くて… 苦しくて… どうすればいいのかもわからなくなりました。 全日本選手権を走りきることができるかも分からず、これからどうすればいいのかも分からなくなり… その中で原点回帰して、エリア戦の最終戦から全日本選手権まで基礎練習のみを徹底しました。 その中で手に入れた全日本選手権 DAY 1 6位 DAY 2 3位 Final-X 6位 総 合 4位 特にDAY2の3位とクロステストの2番タイムは自信につながりました。
そんな経験があったから少しだけ強くなれたと言えます。 それは、自分ひとりの力ではなく、支えてくれるたくさんの方々のおかげです。

中日本エリア戦最終戦から少しして、NAGmotors様に挨拶に伺ったときに長嶋代表から「もう1年がんばろう」って言ってもらえたときには次は絶対1番を届けると思えました。
本当は長嶋代表に国際A級昇格をプレゼントしたかったです。
サポートしている所属ライダーである自分を責めるでもなく「もう1年がんばろう」って言ってくれたことに感謝します。
国際A級昇格は目標ですが、来年のシーズン最後には、 「国際B級だと青木琥珀が最速で最強だな」 と言われるように1つ1つ積み上げます。

2021JEC 全日本選手権 国際B級クラス 総合ランキング6位
下記については今シーズンのレース報告書になります。 全7ラウンド中、病気と免許(年齢が足りないため)の関係で3戦のみの参戦でしたが、最終戦前は総合ランキング20位でしたので、総合ランキング6位までランキングを伸ばして終えることができたことにはホッとしています。
また、中日本エリア戦においても最終ランキングは3位と精神面の脆弱さから1位を逃してしましましたが、シーズン成績では1位×2回・2位×1回の成績を残すことはできました。 全日本ランキングが20位や下位ランキングで終えてしまったり、エリア戦で勝つことができていないと、特別昇格で上がってきても通用しないとなってしまい、後輩の道を閉ざすことになってしまいます。
それだけは何としても避けたかったので、最低限の結果は残せたかなと思っています。 もちろん結果にはまったく満足はできていないですが、ジュニアクラスから特別昇格で国際B級に昇格して次の世代へ何らかの足跡は残すことができたかなと思います。
今シーズンは、高校生になりバイクに触れることのできる時間が制限されてしまいました。 ただ、高校生活に真摯に取り組んだ成果として、入学した国際学院高校では日常生活(遅刻・欠席、課題提出、生徒会活動等)や学業面(定期試験結果等)でしっかりとした結果を残すことを条件に整備やレース・練習による遅刻・早退・欠席を快諾していただいています。 レース活動をするジュニア(小学生・中学生・高校生)世代としては、稀にみる優遇措置だと思っています。 練習や整備・セットアップに時間が思うように確保できずに、レース活動単体で考えるとマイナス面もありましたが、ジュニアライダーの立場の向上や社会とのつながりを考えると有意義で価値のある1年を過ごせたと思います。 国際学院高校の関係者の皆様ありがとうございます。
もちろんその結果として、練習時間や整備・セットアップに向かいあう時間を入学から半年(ほぼシーズン終盤)ぐらいは、思うように確保することができずに満足したライディングができなかったのも事実です。 また、練習時間が自分自身の想定よりも大幅に少なくなってしまったことより、基礎と向き合うことを忘れて、安易にスピードを求めた練習をして怪我を多発してしまいました。
トップアスリートであるのであれば、ケガは禁物であるという、そんな簡単ことが頭から抜けてしまうほどジュニアクラスから国際B級特別昇格でのレース参戦と高校生活の両立は難しかったのも素直な感想です。
それでもシーズン後半には、原点に戻ることで徹底した基礎練習で世界を目指しているライダーだなと周囲から思ってもらえるライディングができてきたと思います。
単独の最年少国際A級ライダー(16歳)は逃してしまいましたが、まだ、最年少国際A級ライダーのタイ記録(保坂修一選手・酢崎友哉選手)は狙えるので狙いたいと思います。
ただ、目先の結果にとらわれずに3年後を見据えて練習には取り組んでいくつもりです。 まずは、2022シーズン最速・最強の称号を手に入れて世界へと行けるように1つ1つの練習積み重ねて、整備・セッティング学び、そして学校生活でも生徒・教員・保護者から一目置かれる存在になります。 最後に、2021シーズンをサポートしていただいたすべての方々に御礼申し上げます。                    

NAGmotors&BETA&国際学院高校 青木琥珀